2011年8月2日火曜日

ニューミュージック、踊るひとたち

「リーダー、不思議なことが起こっています。メンバーがどんどんと消えていくのです。持ち場につき作業に集中している人間が、ある瞬間に忽然と消えていなくなってしまうのです。姿は見えなくなっても存在はそこにあるようで、作業を続ける物音がしたり物が勝手に動いたりといった現象が起こります。しかしそれも数分のことで、やがてそういったことも起こらなくなります。ただ彼らの気配のようなものが空気中を漂い、そうしてそれもしばらくすると消えてしまう。
そしてこの出来事についてもっとも不思議なのは、当然混乱すべきはずのこの現象が完璧な安息の中で引き起こることです。深く穏やかな寝息に耳をすますようにして、我々はその『消滅』の一部始終を体験するのです」
「…彼らは本当に『消滅』しているのだろうか。『移行』のようにわたしは感じる。作業に心から集中しているうちに、彼らは彼ら自身の本質を表現し出し、彼ら自身の音を鳴らし始めたのだ。それぞれの音楽は響くべく場所に彼らを運んだのではないか。まったくわたしは根拠を持たぬまま唐突な予測をしているだろう。ただ、そう感じられるのだ」

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