2014年4月3日木曜日

世界はしずるにとどまらない








夜、仕事を終えた帰り道に
風で揺れてる風船をみかけた。
 
偶然引っかかっているのか
誰かが引っかけていったのかわからないけれど、
畑の端の低い石垣に糸の先がひっかかっていて
風船はその日のすこし、強い風に
ばたばた揺らされている。
 
 
糸はずして、空に飛ばしたら気持ちいいだろうな
 
そう思ったけれど
もしかして
風船なくした誰かが、明日の朝見つけるかもしれないと思ったら
はずすことできないで
そのまま通り過ぎた。
 
 
駅を目指す夜道

乗り込んだ電車のなか
 
2週間過ぎようとする、今も
 
あの風船のことを
ふと思い出す。
 
 
 
糸、はずして
空に飛ばせばよかったんじゃないかって
 
小さく思い続けている。
 
 
 
あのときの場所に、もう風船はない
 
 
 
わたしの心のなかに
石垣にひっかかって、
風の中をばたついている風船は今もあって
 
あぁ
飛ばせばよかったんじゃないかなと
思う。
 
 
 
 
 
でも

飛ばせばよかった、とは思わない。
 
 
 
飛ばせばよかったんじゃないかなと
今もわたしは迷っていて
 
もう一度あの景色に出会っても
糸ははずさないのだと思う。
 
 
 
 
風船を
朝見つけて笑うかもしれない誰かの存在が
 

あの晩も
今も
 
夜が明けたそこにいるんじゃないかと
思われて


 
見なかった景色に憧れながら
 
糸をはずさず立ち去った自分が
ほんとうに見たかった景色を選択している。


 
 


 

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