2016年6月15日水曜日




疲れがぬけないな、と思っていたのが
ほんとうに、いよいよ、という感じになって
どうしよう、と思いながらJRの駅へ向かう。
 
 
大正駅から、関西空港行きの電車に乗り込む。
電車はすいていたから
窓際の席でくぅっと眠る。
 
 
到着した日根野駅の周りには、
めぼしいものは何もなかった。
どうしたものか、と思いながら
関西空港から乗ってくる電車が
到着するホームのベンチに座る。
 
電車がホームに走り込んできて
とびらのむこうに、うらさんがいる。
あぁ、うらさんだ。
電車は停車位置がずれていたみたいで
扉が開く前にちょっと車体を動かしたりして
その間にも、あーうらさんがいる。と思って
ガラス窓のむこうの姿をみている。
相変わらずのつるっと、たまごみたいなお顔。
 
 
とびらが開いてでてきた、
鈴みたいな声。会えた。
 
 
昔からあるような喫茶店に入って
ピザトーストを食べながら、すこしの時間だったはずなのに
だいじなものを、ちゃんと交わしあった感じがする。
 



うらさんが、うらさんの作品、コツメカワウソを連れてきていて
小さな箱からやんちゃで生き生きした顔があらわれた時
心がもう一段深くあかるく、ぱぁっとした。
 

「死はもういいと思って」と
うらさんが言った。

それを聞いて、
わたしのなかに、言葉になるものが生まれる。
 
「実は疲れがずっとぬけなくて、
JRの電車に乗る前に事務所に寄って
誰かいたらハグしてもらおうと思っていたんだ。
パワーをわけてもらわないと、と思ってた。
でもドアを開けようとしたら鍵が閉まってて
電車のなかで、ちょっと眠って。
でも今、元気になってる。
うらさんは、看取るひとから、運ぶひとになったんだね」
 
いのちを運ぶひと。
 
コツメカワウソから、いのちの熱が
渡ってきたんだ。



 
「縁で人生が変わっていく」
 
うらさんが言った。
 
 
 

 
こんどはあそこへ、あそこへも
一緒にいこう、と、そっと、生き生きと
たしかなやくそくをして
うらさんは和歌山へ
わたしは大阪へむかって
また電車に乗る。
 
うらさんの大切にしている景色のなかを
わたしが何度も訪れていることもわかった。
 

風景が重なって
時間が呼び起こされて
何度でもめぐる。
 
あたらしく。
 
やまも
かわも
待っていてくれる。

 

 
 
 
 
 
 
大正駅に戻って
事務所に寄ると、聡くんがいた。
 
「朝、すごく疲れてて」という話をしたら
みぞおちに手をあててくれる。
 
おなかがぽかぽかしてきたら
からだが緩んできて

くちからほろっと
「ひとの悩みって、背負えないよね」と
ことばが出る。
 
「それで疲れが抜けんのか」
と聞かれたときに、つーっと涙がでて
またひとつ、からだが緩んだ感じがした。
 
 
もし、重たいものが
友人の背に乗っているなら
じぶんも少しでも
その重さを感じていたいと思った。
 
自己満足かもしれないけれど
それですこしでも、そばにいられるなら。
いられるように、思えるなら。
 
 
 
 
でも、それではもう、いけないのかもしれない。
結局、「そばにいられない」という自分を慰めるためだけのことで
ほんとうに友人にとっていいかたちに、動いているとは思えない。
 
 
「ひらいていく」
 
きのう、まこっちゃんの口から
何度も出てきたそのことばが、響いてくる。
 
 
 
ぐっとぐっと
握りしめるでなく
 
 
ふっと
手をひろげていよう
 
 
そのままなるように

 

 
 



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