2016年8月30日火曜日


 
 
真夜中降っていた雨が
夜明けにはやんでいた。

事務所をでたら橋のむこうに細い月が浮かんでいる。
もうすぐ新月なんだな、と思った。

自転車の鍵が見つからなかったので、
歩いて帰ることにする。

明け方
みなと通りをトラックが走っていく。

 
朝の5時から開いているパン屋さんの名前はピン・ポン・パン。
シャッター降りた商店街。時間がはずれてしまっているみたいだ。

普段はひとがどんどんと行き交う道。
あそこへ向かおう、とか、これからあれをしよう、とか
あの人との関係とか、いろんなことを考えながら
行き交うひとたちは今、みんな眠っていて
 
空間からバラバラと虫ピンが外れたみたいになっている。


ぼわっと広がる空間は
本来の名前のないところに戻るから
夜明けの町は宇宙がとても近い。


24時間開いているファミリーマートは平熱の秩序を保ち続ける。

電車が走らない線路。 
 
 
 

2016年8月28日日曜日

 
 
21時をすぎた。
 
すこし整理したい感じがあって、
久しぶりに日記を書こうと思った。
 
 
 
今日、大阪は涼しくて秋みたいな風が流れていた。
すこし汗ばんだところに、風が冷たいから
薄いブランケットにくるまって、風をよけたりして。
 



数日前のこと 
髪型がヘルメットみたいだから、
ヘルメと呼ばれている東京在住の青年から連絡があり
いま心斎橋にいるとのことで1時間だけ会おうということになって
ぴゅーっと自転車を漕いで、珈琲屋さんへ行く。

わたしが大阪でたてた
「触れる」についてのワークショップに関心があるとのことで
その時の話などをひとしきりする。
 
わたしが話しているあいだ
ヘルメは笑ったり眉間に皺を寄せたり、表情をくるくるかえて
からだもぐぐっとゆがませたり、揺らしたりしながら聞いている。
 
「ヘルメは最近どう?」と聞いてみると
「人と会うのが久しぶりすぎて、人と話す回路がまだできていない」
すこし、かんがえたあと、ヘルメはそう言った。

「ずっと家にこもって研究したり本を読んでた」と言う。
 
ヘルメは、すくすくとゆがんでいる。
でもそのゆがみが、実はとってもヘルメのまっすぐで
生命が損なわれていない感じに
こっちも元気がでてくる。




日々、いろんなことがあって
ぐるぐるしたり、ぐっとちからをいれたり
いそいだり、ゆるんだり
自分に落ち込んだり
 
ぐるぐるとしながら
気がついたら8月末に。 

2016年8月25日木曜日

 
大切につくってきた気持ちは誰のものも薄くなかったから
ちゃんと調整して、気持ちのよいものをつくっていこう

2016年8月16日火曜日

 
ごはんのことを、ちょっと適当にしすぎた日が続いていて
ちゃんとしたものを、味わって、食べたい!
という気持ちがたまらなくなって、
ぴゅーっと自転車を漕いでd & departmentへ行く。

ハンバーグをしっかり食べて
珈琲まで飲んで、元気になった。

ハンバーグも柔らかくて美味しかったけれど、
つけあわせの茄子とズッキーニと獅子唐がとっても美味しかった。
焼いてあって、茄子とズッキーニは瑞々しくて、塩がぱらぱらっとふってある。
 
帰りに一階のshopをふらりと覗くと
パイロットの細字のペンが売っていた。
聡くんが書きやすいペンを探していると前に話していたので
どうかな?と思って買ってみる。
自分にも黒を一本買った。
ayacoちゃんが絵を描いているペンはこれじゃなかったかなと思って。

ボールペンはJET STREEMが今のところとっても書きやすいけれど
あともう一歩、かわいかったり、シンブルだったら本当にいいなと思う。
 
文房具も、車も、
なんでちょっとウルトラマンチックなデザインが多いんだろう。
 
 
 

ごはんを食べて元気になって
堀江をぴゅーっと自転車漕いで走っているとき
 
あぁ、時々は川を越えよう、と思う。
 
窓越しにかわいい服や、素敵な内装を見ると
気持ちが生き生きとしてくる。


九条、千代崎あたりから
ひゅんっと細い川を一本渡れば堀江で
ちょっとお洒落なお店がたくさんある地域になる。
 
 
九条の商店街の体温が近くて生き生きした感じは大好きだけれど
丁寧にデザインされているもののなかにいる、気持ちよさもあると思った。
 


 
 
 


2016年8月15日月曜日


事務所へ行ったら玄関に
見慣れないサボがあって、
なっちゃんが来てるのかな?と思って
「なっちゃん来てるの〜?あ、みさこさんかな」
と言いながら階段をあがる。
 
部屋の奥でさがちゃんとさがちゃんの恋人が、
仁美ちゃんと結婚式の打ち合わせをしていた。
 
さがちゃんの周りは空気がかるくてふわっと広い感じがする。
恋人のひとは、軸がしっかりとしていて、やわらかい印象。
思いがけず会えてうれしくなる。
 
 
ピンポンパンで買ってきたサンドイッチを食べてから
絵を描き始める。
 
描いた絵を佐田さんに送って
午後からは、お芋屋さんの仕事へ向かった。


お盆休みの日曜日。大阪駅は人がいつも以上に多い。
 

久しぶりにシフトが入れ違いになったしょーこちゃんと引き継ぎをしてから
派遣会社から土、日と2日間、お手伝いできてくれているマネキンさんと
3時間ほど一緒に働く。

知らない場所に1日、2日だけ来て働くって、どんな感じなんだろう。
話すたびに、覗き込むように、こちらの表情を見てくる人だなと感じる。

会話の中で、わたしが仕事を掛け持っている話になると
「大変じゃないですか」と聞かれたので
「でも、どこも人がいいから、恵まれていて、楽です。
ここ(お芋屋さん)も、みんな、人がいいし」
と答えると、相手の表情が変わる。
「そう感じませんでしたか?」と、聞くと
前日一緒に働いていた女の子が苦手だったと言う。
「あの子、めちゃくちゃ、人見知りなんですよ。緊張していたんだと思います」
と、こたえた。
 
なんとなく、マネキンさんの
控え目なようで、ぐいぐいくる空気や
心の中がわからない感じや、店舗のものの扱い方を見て、ちょっと、疲れてくる。
前日一緒に働いた彼女も、色々感じるものがあったんだろうなと思う。
人見知りに加えて、正直な子だから、そのまま態度に出たのだろう。
 
それでも
あとほんの数時間だし
気分よくお店に立って、いい空気でお芋に触ってほしいし
お客さんに楽しく接して欲しい
と、思うと、妙にマネキンさんに向かって気を遣って、
マネキンさんの気分をよくしようと動いている自分がいる。

それでまた疲れてきて、途中から、もう黙々とお芋のヘタを切ることにした。

マネキンさんがあがる時間になって
帰り際に「話しやすい方でよかったです」と言われる。

なんだかちょっとな、という気持ちが残る。
 
 
ひとりになったら気が楽になって
お芋を焼いたり、備品の補充をしたりしながら
接客をする。
 

途中でショーケースがぱぁっと真っ白になって
隣の店舗のひとと「なんでだろう!?」と話していたら
外で突然の豪雨が起こったらしい。
 
湿度があがって一瞬で真っ白になったのだった。

 
 

 

 
 
 

 

 



 


2016年8月13日土曜日



ひゅっと、影に入る自分がいる。
そういう性質があるから
できていることもあるように感じるけれど
(裏方が好き、とか)
 
入りたくないのに、影に入るというか
明るいものをみて、自分を隠すことがあることに
気がついてきた。
それが苦しいということにも。
 
 
介助の仕事を終えて、大正駅を降りる。
それから大きな橋をひとつ渡る。
川面がたゆたゆしていて、いつも綺麗。
月をさがしたら、ずいぶん下の方で鈍い金色に光ってる。
ビルとビルの合間、環状線が走る、その光が見える。
 
あんな、光るものが、浮かんでいて
なんて綺麗なところに、生きているんだろうな、と思う。
 
月は、みかんの房みたいな、かたちをしてる。
風もふいている。
 
 
 
京セラドームがあるからか、会社も結構多いのか
夜遅くても、いつもひとが駅へむかってぱらぱらと流れている。
 
介助の仕事が終わって戻ってくるのは23時頃なので
すこし酔いが回ったいい感じの人たちも多い。
 
その日は
木の陰でぴったりとくっついてキスしてる人たちがいた。
なんとなく見てしまう。
(いま初めて、気持ちが通ったのかな?)とか、考えたりして。

スケーターの少年たちが、かたまって喋り込んでる。
まだ長そうな夜。
 
 
 

事務所に立ち寄ると、仁美ちゃんも聡くんもいた。
 
仁美ちゃんは奥で眠っていて
聡くんも眠たそうな顔をしていた。
 
仁美ちゃんが眠っているので、すこし小さな声で聡くんと話した。
 
 
絵を描こうと思っていたけれど、
朝と晩にヘルパーの仕事、
合間に事務所に戻って、ひとつ企画に参加していて
さすがに眠たくて集中力も出ないから、
聡くんが帰るというので、わたしも一緒に帰ることにした。
 
「仁美ちゃん、帰るよ」
と、眠っている仁美ちゃんに聡くんが声をかけると
「寝っちゃったー」
と言って仁美ちゃんが起きてくる。
 





 

2016年8月9日火曜日


おもたい風がふく。
肌に触れるとすこし、すずしさを感じたりしながら。

昨夜、いちど家に戻り
事務所で仁美ちゃんに分けてもらった、
いただきもののきゅうりとトマトと
それから冷蔵庫に入れっぱなしだったズッキーニと解凍した豚肉を焼いて
久しぶりに家でごはんを作って食べた。

 
きゅうりもトマトも、実がしっかりしていて
トマトはあまくて驚いた。
仁美ちゃんも聡くんも、トマトは選んでいなかったなと思い返して
あまさの驚きを共有したい気持ちになって
明日、事務所にひとつ、トマトを持っていこうと思う。


絵の仕事がまだあったので
晩ごはんのあと、また自転車で画材を置いている事務所へ向かった。



大通りの向こうの薬局へ寄ってから、と思い
大きな交差点の前で自転車をとめる。
 
信号待ちをしているその時
高速道路の間にある、中央線の高架を電車が走りぬけていった。
 
ばわんばわんと、おもみのある風が夜をたゆます。
あかるい夏の暗闇をトタントタンぬけていく電車の白いひかりをのぞみながら
今このときの、この感じ。と、思った。
 
 
狭山に帰ったとき、
裕子さんがTuuliで聞かせてくれた、星野さんのはなしを
星野さんの本を大切に読んでいる、くぼやんと佐田さんにつたえよう。
と思って、胸にもっていた。

くぼやんには一昨日会ったときに、
佐田さんにはメッセンジャーで送っていたのをすっかり忘れて
昨日、仕事の電話をしているときに、また話していた。

あとから、もうメッセンジャーでつたえていたんだ、と気づいて
はじめて聞くみたいにして、聞いてくれたなぁと思い返す。


とおいアラスカ

裕子さんの風景 ずっと大切に触れてきた時間
 
くぼやん さださん わたしも

それぞれがどこかで、星野さんの本や写真に出会っていること。


重なると深まる

深まるとひびく 
 
 
 
自転車を漕いで
事務所へ。




2016年8月6日土曜日


夜が明けてしまった。

午前中に終わらせたい仕事がまだたくさん手元にある。
外が明るくなって、蝉が鳴き始めている。
 
隣で、やっぱり徹夜している仁美ちゃんがパソコンに向かっている。
 
わたしは眠さがどうしようもなくて、
すこし横になって眠ったので、徹夜ではない。
夢をみた。内容は忘れてしまったけれど、気配だけ今も近い。
 
学生時代の、テスト前のよう。
 
埼玉に帰省する前もこんなだったし
大阪に戻ってきてからもやっぱりそんな風で
 
でも、どの仕事も顔が見えて、熱があるし
やりたくてやっているから
眠たいけど眠たいだけで充実している。
 
でも、1日があともう少し、長かったらいいなと思っている。
 
 
 
埼玉にいる自分と大阪にいる自分が、同じようで
同じじゃない気がする。
 
それは「わたし」が確固とした存在なわけじゃなくて
風景や、目の前にいるひとによって、変わるからだと思う。
 
晴れの日と曇りの日の気持ちが違うように
自分もまた、現象なのだろうから。
 
 
 
埼玉から大阪に帰って来た日
聡くんの態度がこわいと感じてビクビクした。
後から聞いたら、仁美ちゃんとの冗談のやりとりだったという。
そういえば仁美ちゃんも笑っていた。
 
それを聞いて
聡くんは変わっていないのに、
わたしが変わったんだと思った。
1週間のあいだに。
 
冗談がわからなくなっていたし、
「なんでそんな態度なの」とつっこまずに
ぐっと洞穴に隠れて様子を見ていた。
 
 
 
関西弁で言われて、好きなことばがある。
「なんて?」ということば。
「なんて言ったの?」「なんだって?」という感じで
わたしは多分声が小さかったり
ごにょごにょとまとまらない話が長くなるので、
よくそんな風に聞き返される。

「なんて?」
 
わたしは、このことばが、すごくうれしい。
 
「なんて?」
 
聞こえなかったのを、聞こえなかったままに
わからなかったのを、わからなかったままに
流すんじゃなくて、
どゆこと?と、身を寄せるようなことば。

 
 
なんでやねん、
どないやねん、
 
関西弁には、入ってくることばがある
そう、それから面白いのは
「なんて?」も含めて
入ってくることばは、はねっかえす意味ももっている。

けど、どちらにしても
スルーするわけじゃない。
 

 
 
埼玉にいるあいだ
たくさんのひとと会って、一緒に過ごすことができた。
帰る日の晩は、両親とごはんも食べられた。
 
なんてことのないふつうの食卓だったけれど
あまったお刺身をみて、父が「食べないの?」と聞いてきた。
その声が、どこかまるくて、ちからなく、やさしかった。

 
 
触れないやさしさがあること
見ないふりするやさしさがあること
 
よく知っている。
 
 
でも、あるものを、見ること
ぼやけて見えるところに、たずねてみること
 
いま多分、
おぼえている途中で
 
痛い思いするとやっぱり
のばしてた手をひっこめて、
手をのばそうとしていたことすら誤摩化そうとする自分がいるのだけど
 
でもやっぱり、
やっぱり、おぼえていく途中。
 


仁美ちゃんは、まだパソコンに向かってる。
画面をじっと見てる。